ここまで10回くらいに渡り、色々な短歌を紹介してきましたが、どうですか!皆さん!
歌集買いましたか!!
買った人〜〜、出てこいやーーーーー!!!
買ってねえよ!!!!!!!!
ですよね。。。
いや、仮に興味を持っていたとしても、何から買えばいいんだかよく分からず、結局買ってないって人も多いですよね。というか、ここにはそういう人しかいませんよね!!(カシュウカッテ・ハラスメント)
はい、イエローカード!次やったら荒井退場だから!
ん〜〜〜〜〜、テンションが安定しないね〜〜〜〜〜!!!
というわけで急に真面目になりますけども、僕が短歌に馴染みのない友だちに短歌の話をしてみるとだいたい言われるのが、「(短歌について)解説が欲しいよね」って言葉なんですよ。
それで、今度は自分の短歌を紹介すると同時に、どういうことを考えて詠んだのかってことを話してみたら、「あぁそういうことか〜!」って納得してもらって、明らかに反応が良いんですよ。
もっと良い反応だと、僕が説明する前に「これってもしかしてこういうこと?」みたいに、その人自身が感じたことを話してくれるようになるんです(これはまじで感動する!)。
そうすると、その解釈が自分の説明と合っていようが間違っていようが関係なくて、むしろ「そう感じるのか!」という驚きや発見があるわけなんです。
つまり何が言いたいかというと、その歌にまつわるストーリーや解説をすれば、短歌を面白いと感じてくれる可能性がぐんと上がるはずなんです。
そういう思いもあり、このコーナーを書いているんです。
で、僕みたいな一般人の解説やストーリーじゃなくて、ちゃんとしたプロによるものはないの?というわけですが、もちろんありますよ。
というわけで今回は、「解説やストーリーを知った上で短歌を楽しめる本」をいくつか紹介します。
いっつも前置きが長い!めんご! それじゃあレッツラゴー!
①『ショートソング』枡野浩一
ネット上によく登場する歌人・枡野浩一さんが書いた本なんですが、これは小説なんです。
ある童貞の大学生が、憧れの女性からデートに誘われたと思ったら短歌の会に連れていかれて、そこでプレイボーイな歌人に出会ってなんか色々あって短歌を詠み始めて、詠んでみたら良い歌じゃん!もっと詠めよ!ってなるストーリーです。
主人公は童貞であることを武器に短歌を作ります。
そんな展開なので、もちろん作中にはたくさんの短歌が出てきます。
登場する短歌は、枡野浩一さんの歌だけでなく、色んな歌人の歌がありますので、ちょっとしたガイドブック的な感じでも読めます。
そしてお気づきでしょうか、ここでもう一度タイトルをご覧ください。
「ショートソング」、、「短い歌」、、、、短歌じゃねえか!
まあそういうわけで、物語を追っていく中で短歌を楽しむことができるので、ほんとに第一歩としてもおすすめできます。
というのも、何を隠そう、荒井が短歌を始めるきっかけがこの『ショートソング』だったからです。
これを読んでみて、短歌って面白いな!と思ったんですが、そんな状態で家の本棚を見てみると、なんとそこにはあの『サラダ記念日』があったんです。
その頃はなんとなく手にとってみただけですが、読み始めて、そこで完全にハマってしまったわけです。
②『トリアングル』俵万智
と、噂をすればなんとやら。
次はその俵万智さんの作品です。これも小説。
妻子ある年上の男性と8年くらい関係を持っている女性が主人公です。って昼ドラか。
そしてその女性が年下の男性と出会って恋に落ちてしまう。って昼ドラか。
でもご安心を。昼ドラのようなドロドロ展開はありません。
というか、俵万智さんの文章がほんとに美しい。
スッと入ってきてじわ〜〜っと広がっていくような美しい文章です。
で、これも物語の中で短歌が登場するんですが、登場の仕方がちょっと違います。
「歌物語」ってあるじゃないですか。古文の。代表例が『伊勢物語』です。
物語の中で、それまでの流れを汲んだ和歌が挿入されながら話が進んでいくんですが、この『トリアングル』はそれと似ていて、この本の背表紙には、現代の〈歌物語〉とかって書かれています。
登場する短歌はすべて俵万智さんの歌です。
以前の記事で俵万智さんの「ねっとり短歌」を紹介しましたが、小説の内容も不倫を軸にして話が進んでいきます。
その中で、結婚や出産に対する主人公の思いが書かれていくんですが、そういうのも含めて、ほんとに微妙な心の動きを見事に捉えています。
あまりにも見事なので、「これは私小説か!?実話なのか!?」と思ってしまうほどです。
解説の松尾スズキさんも、「これ実話じゃないの?」って書いちゃってます。
あと二冊、紹介したい本があるんですが!!
長くなるので次回に持ち越しですね。
ではまた。
●文/歌人・荒井貴彦
大学一年生の時に短歌を詠み始めました。主な源泉は寂しさです。 最近はもはや、短歌にすがりついている感すらありますねえ。 「荒井の随筆」というブログで自作短歌を公開中です。