宴は終わった。話を小学生時代に戻そう。
2年生になる春休みに、東北から関東の地方都市に引っ越したんです。
都市、というほどじゃなかったけどね。
父親が営業マンで、転勤です。
最初の引っ越しは2歳で記憶にないんで、物心ついてから初めて環境が変わったんですね。
新しい学校ではみんなが珍し気に寄ってくるし、言葉がよくわからないし、もう不安と緊張で、毎朝お腹が痛くなって、早退したり休んだり。
5月の家庭訪問を待たずして、担任が家に来ましたよ。
この担任がねえ・・
校庭で草取りかなんかしてるとき、僕に「オッ君、ハクボク取ってきて」というんですよ。
「ハクボク・・・?」
「ハクボク知らないの?」
「・・・」
担任、別の子に「〇〇君、ハクボク取ってきて」
彼が持ってきたのはチョークですよ。
なんだ、チョークかよ。チョークって言ってくれればわかったのに・・・
すんげー惨めな気分になった。
あっ、今わかった。僕が方言に興味があるのはこのせいだ。
やたら方言が気になるんだ。(つーか、ハクボクは方言か?)
おお、東京饗宴、サンキュー、サンキュー!!
そんなわけで親は相当心配してたみたいだけど、だんだん慣れて、仲良い友達も出来たし、楽しく過ごしたな。
3年生では学級委員やったんですよ、これでも。
その町では、そこにあった小さな教会に行っていた。
小さいわりに、子供が多かったね。
あれはほとんど牧師の息子の同級生たちだな、男子も女子も。
息子君は2つ年上で、スピッツのヴォーカルみたいなクールな感じで、少年野球チームのエースで、憧れでしたね。
日曜日はいつも、礼拝が終わると僕をキャッチャーにして、自分で実況しながらボールを投げた。
僕がプロ野球に目覚めたのはもう少し先だから、全然わからなかったけど。
(彼がかぶっていた帽子のマークがジャイアンツだというのも、だいぶ後で知った)
夏休みには教会のみんなで泊りで旅行も行きましたね。
そういう家庭的な雰囲気は、地方の小教会らしくてよかったよ。
教会学校のイベントで、食事のメニューを何にするか希望をとったの。
僕が最初に手を挙げて「カレー!!」と言い、そのあと誰かが「ハンバーグ」と言った。
多数決を取ることになって、圧倒的多数でハンバーグになった。(カレーは僕一人だったかも)
僕がカレー好きなのを知っている優しい牧師夫人が、すごく同情した目で僕を見ていた。
しかし、ハンバーグ!!
なぜに、イベントでハンバーグなどという「個別の」「ちんまりした」メニューになるんだ!?そんなもん、家で食べれ!!
僕にはいまだに納得できてないな、これは。
カレー、好きなんだ。
給食がカレーの日はずっと楽しみだったんだ。
今でも出張先ではインドカレー店を探す。(ないとラーメンになる)
ぬカレー、いつか食べたいね。
じゃあまた。
オッちゃんでした。
●文/オッちゃん
クリスチャン家庭に生まれ、高校時代に洗礼を受ける。50にして天命を知る。某プロテスタント教会所属の現役クリスチャン。趣味は読書、映画、80s、モノ書き。愛読書はもちろん聖書。編集長とは不思議な赤い糸で結ばれている。