2018.06.2

『ラスト・ワルツ』最大音量上映観た。

映画とロック、この相性は過去数々の名作を生んできた。中でも今作『ラスト・ワルツ』は「ザ・バンド」の解散コンサートを追ったドキュメンタリー作品だ。監督はマーティン・スコセッシ、これだけで当時高校生だった俺はTSUTAYAでビデオを借りて観た。当時はザ・バンドとボブディランの関係も知らなかったし、ヤングが実はとんでもないぶっ飛び野郎だということも知らなかった。クラプトンとディランが出てるから、という理由が大きかったんだ。

『ラスト・ワルツ』その背景①はっきり言って解散したくなかった

そもそもこの『ラスト・ワルツ』はザ・バンドの解散コンサートと銘打っているが、ギタリストのロビー・ロバートソンが勝手に解散したかったから実施したという背景がある。正直他のメンバーは「しぶしぶ」解散という方向にうなづいたのだ。それを象徴するように後にザ・バンドはロビー・ロバートソンをハブって(ハブると書いておく)再結成する。

『ラスト・ワルツ』その背景②実はチケット売れ残った

まず『ラスト・ワルツ』にはこれだけのメンツが出演している。

・ボブ・ディラン
・ニール・ヤング
・エリック・クラプトン
・マディ・ウォーターズ
・ヴァン・モリソン
・ドクター・ジョン
・ジョニ・ミッチェル
・ボビー・チャールズ
・ロン・ウッド
・リンゴ・スター
・ロニー・ホーキンズ
・ポール・バターフィールド
・ニール・ダイアモンド

すげ~!今改めてみるだけでも豪華すぎる。ところが、

チケットは売れ残った。

高かったから。そしてゲストがシークレットだったからだ。
なぜ言わなかったんだ。きっと当時でも大人の事情みたいなもんがあったのだろう。

『ラスト・ワルツ』その背景③ヤングがステージでコカイン決めててラリラリだった。

当時のヤングはほんとどうしようもない奴だったので、実はステージ上で鼻にコカインがぶっ刺さっていたそうだ。もちろん現在のフィルムでは修正されているが当時はそのまま上映していたとか。すげえよスコセッシ、っていうかヤング、お前は本当に反省しろ。

『ラスト・ワルツ』その背景④ディランが調子よくなって1曲プラスしちゃった♡

当初ザ・バンドはディランのバックバンドを担当していた、という縁がある。当初ディランは『ラスト・ワルツ』で撮影されることを嫌がっていたが、『フォーエバー・ヤング』を歌った後の観客の歓声に気をよくして『連れてってよ』も演奏。当時から気まぐれ、さすがディラン。さすがわがまま最低人間である。

これだけどうしようもないエピソードがあっても『ラスト・ワルツ』は最高

さてシラケるエピソードばかりのこの『ラスト・ワルツ』だが、後世への影響は大きかった。俺もその一人である。なぜなら高校生の俺が「まじで洋楽ってかっこいい」と思えたからだ。その一言に尽きるのだ。ヤングがヤクキメてラリってたって、ディランがわがままで歌っていたって、リンゴもロン・ウッドが、最後少ししかでてなくたって、なによりも若かった自分が影響を受けた、それだけで素晴らしいことなのだ。後に知った寒いエピソードだって笑える話だ。だからどうした、だ。ただただ「バンドの最後」というコンセプトを鵜呑みにすれば美しく仕上がっている。オープニングも、エンディングも、最後、ラスト、彼らのワルツなのだ。そして、ザ・バンドはドラムのリヴォン・ヘルムが死んだからもう二度と観ることができない。

劇場で観るのは3回目、最初はいつだったかバウスシアターで観た。2回目は今は死んじまった俺の映画の師匠と一緒に観た。そして3回目は今回だ。ヒューマントラストシネマ渋谷。今回は最大音量上映だ。

初めてみた高校生の時は、豪華メンツということがあまりよくわかっていなかった。クラプトンとディランとヤングとロン・ウッドとリンゴしか知らなかった。今となってはどうだ。全員知っているじゃないか。再びスクリーンで彼らの姿を観ることができるなんて、こんな幸せなことはない。

あの時思った「洋楽ってかっこいい」という気持ちが蘇ってくるではないか。こんな素晴らしい企画をしてくれた配給さんに感謝の意をお伝えしたい。

『ラスト・ワルツ』は公開40周年デジタルリマスターされ(ヤングのコカインも修正済)公開中だ! まだ上映している!劇場に急げ!

ラスト・ワルツ公開40周年記念上映サイト

 

●文/ 東京饗宴 編集長・ライター    ロックス
映画を中心に執筆活動中。得意なジャンルはB級〜Z級映画。勝手にその年の受賞作品を決める「輝け!日本ぬかデミー賞」を主宰。バンド活動、ウェブメディアの運営やイベント製作・萬屋経営など、マルチに活動中。