2018.02.9

『光』レビュー【輝け!ぬカデミー賞邦画部門ノミネート作品】

輝け!ぬカデミー賞のノミネート作品を授賞式が行われる24日までにレビューをする(予定である)。まずはこちらの作品、『光』である。
河瀬監督は前作『あん』にて「ハンセン病」をテーマに作品を描いた。この『あん』に助演として出演していたのが、『私立探偵濱マイク』シリーズをはじめ、日本映画界の名優・永瀬正敏である。そして今作『光』では主演、弱視のカメラマンを演じている。果たしてこの作品は珠玉の「ラブストーリー」、と唄ってはいるが、果たして本当にラブストーリーなのだろうか。

あらすじ

視覚障害者向けに映画の音声ガイドを制作している美佐子(水崎綾女)は、仕事を通じて弱視のカメラマン雅哉(永瀬正敏)と出会う。雅哉の素っ気ない態度にイライラする美佐子だったが、彼が撮影した夕日の写真に衝撃を受ける。やがて症状が悪化し、視力を失いゆく雅哉を間近で見つめるうちに、美佐子は……。(Yahoo JAPAN 映画より抜粋)

 

孤独とさみしさ

かつてその名を馳せたカメラマン、永瀬正敏演じる中森は視力を失いつつあった。家族も持たず、だがカメラへの情熱は燃え尽きぬままレンズへ瞳を向ける。その姿を見つめるのは美佐子。孤独とさみしさを感じた瞬間に誰かを求めるのなら、雅哉も、そして美佐子も孤独とさみしさがあっただろう。それゆえ、ラストシーンの夕日を目の前にする二人の姿は痛みも感じ、そして切ない、だけれども、美しい瞬間である。ドキュメンタリータッチで撮られた撮影も観ている我々を「リアルな世界」を感じそれもまた生々しい演出となったのもポイント。ただ、これは果たしてラブストーリーなのか? たまたま男と女なだけであってラブストーリーを全面に押し出すわけでもなく、光を失う男とそれを見守る女性、それ以上でもなければそれ以下でもないように見えたのは俺だけだろうか。

 

●文/撮影   東京饗宴 編集長・ライター ロックス

映画を中心に執筆活動中。得意なジャンルはB級〜Z級映画。勝手にその年の受賞作品を決める「輝け!日本ぬかデミー賞」を主宰。バンド活動、ウェブメディアの運営やイベント製作・萬屋経営など、マルチに活動中


●イラスト/ 東京饗宴 プロデューサー タケオリ